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2月

2010

『名駅・栄 灰皿情報』

 私は喫煙者である。愛煙家ではない。この類の言い換え
はよろしくない。一番好きな表現は『煙草呑み』。
 大学生の時、水泳コーチのバイトをしていたおかげで、
真夏にも係わらず、急性肺炎になって入院した。高熱と抗
生物質で朦朧として数日を過ごし、はっきりと意識が冴え
た状態で目覚めたとき、最初に頭に浮かんだのは、「あぁ、
煙草吸いたい」だった。

アドモドバル監督の『オール・アバウト・マイ・マザ 
ー』を観て、大女優役の大女優さんが、「私の恋人は煙草
よ」と言い放ったとき、「なんて素敵な女性だ」と思った。
そのとき、私の目はハートに輝いていただろう。
 そういえば、まだ飛行機に喫煙席があった時代、パリの
空港で受け取ったチケットが禁煙席で、カウンターで金髪
碧眼の人たち相手に「オーダーと違うから換えて」と交渉
した。なにせおぼつかない外国語である。最後にはリュッ
ク・ベッソン監督の『レオン』のマチルダの真似をし  
て、”please”と身をくねらせてしまった。相手も
あきれたのか、喫煙席に換えてくれた。そこまでして煙草
が吸いたいのか、と、後でさすがに情けなくなった。
 このご時世だから、仕事で不都合が生じそうなときは、
ニコチンガムを携帯する。ドラッグストアでの購入時、 
「始めてのご利用ですか?」と聞かれたので、「いえ」と
俯きながら答えた。次は、別のドラッグストアで購入しよ
うと思った。
 さて。お待たせしました。灰皿情報。まず、名駅新幹線
口。信号をビッグカメラの方にわたったら、左手を見てく
ださい。道をはさんだ向かいに、スモーキングスペースが
あります。駅構内のマクドナルドも喫煙ルームがあるので、
何か飲んでもいいなという時は利用します。100円から
のご利用料金ですから。名駅表では、名鉄百貨店のレスト
ラン街、矢場とんの前に喫煙ルームがあります。高島屋も
レストラン街にあります。いつも探してしまうようなわか
りにくいところにあるので、場所はうまく説明できません。
あしからず。
 栄では、ラシック。数フロア毎に感じのいい喫煙ルーム
があります。案内板も出ています。愛知県芸術文化センタ
ーで私が利用するのは、二階デッキ部分にある灰皿。錦通
りに面した、つまりコンサートホール近くです。NHKの
ビルでは、文化センターが入っているフロアの屋外に灰皿
があります。
 もし、なくなっていたらごめんなさい。しかし、それは
かつてはそこにあったのです。
 先日、名古屋駅の東海道線ホームの灰皿がなくなってい
ることに気がつきました。「一月に、確かに私はここで煙
草を吸ったのに…。すごく寒い日だった…」と、遠い目に
なりました。
 いまや、煙草呑みには、そんなマゾヒスティックな楽し
みもあります。そして、喫煙ルーム&喫煙スペースで、煙
と共に漂う「同病相哀れむ空気」。これを味わえるのは喫
煙者ならでは。
 昭和の時代に作られた日本映画が好きです。登場人物が
ふつーに煙草を吸います。一番好きなのは、『寅さん』シ
リーズのおいちゃんの煙草の吸い方です。ふっと座ると、
ふっと既に煙草に火がついている。そんな感じ。山田五十
鈴さんや杉村春子さんの煙草のくわえ方も素敵だったな。
はすっぱで。
 昭和は遠くなりにけり。煙草…、200 円だったのにな…。