20

3月

2010

『三島由紀夫ってどんな人?』

 先年、神島を歩いた。三島由紀夫の『潮騒』の舞台とし
て有名になった島だけに、要所要所に、作品からの抜粋の
プレートがあった。

「白い葱のような官能」という一文に私の目は釘付けに
なった。女性の美しさを表現するのに、葱! ですか? 
「葱に官能を感じるとは、さすが三島だ。。」とうなって
いたら、同行の体育会系女子が言った。
「私、三島由紀夫って、自殺した人としか知らないんです
けど、どんな人なんですか?」
「えっとねえ。いいとこのお坊ちゃんで、顔はかっこよか
ったけど背が低くて、ゲイでナルシストで、おまけにマッ
チョ」
「げっ! まじきも〜い!」
 なるほど。体育会系見方ではそうなるだろうと、いたく
納得。きもいよなー、確かに。
 私は三島の作品の3分の2くらいは読んだと思うが、全
部は読んでいない。その申し訳ない前提の上でなのだが、
彼の最初期と最晩年の作品が好きだ。
 年長の友人から、「三島は『豊穣の海 四部作』を読ま
なきゃ」と言われ、読んでみて、なるほど、天才とはこう
いう人のことを言うのだと思った。次いで、デビュー作を
含んだ『花ざかりの森・憂国』を読んだ。なるほど、天才
は最初から天才なのだと思った。
 三島由紀夫は、ご存じのように、阿佐ヶ谷駐屯地で、国
の行く末を憂いて自決した。自決前の彼の映像をライブで
見た人を羨ましく思う。私は、ちょっと遅れた。
 かといって、私は、右ではない。「右か、左か」と、そ
れとなく答えを求められたら、「右でも左でもない、私は
フェミニストだから」と答える。これは、便利だ、使える。
男性は、間違いなく、ひるむ。That's all.
 半藤一利さんの『昭和史』を読んだ。売れていると帯に
は書いてあったが、売れて当然、わかりやすい。昭和史の
勉強を昨年始めたばかりの私であるが、通史としては、と
てもありがたい一冊(上下)だった。しかし、ちょっとだ
け疑問は残った。「どうして、この人、こんなに天皇が好
きかなあ?」
 私は、高度成長期の子どもである。戦前戦中の日本を知
らない。学校では教えてくれなかった。祖父母も語ること
を潔しとしなかった。
 理解したいと思っている。三島由紀夫が、その生を、あ
の才能を賭してまで訴えたかったものは何だったのか。日
本がなぜ、『国家の品格』や『美しい日本』という言葉で
取り戻さなければならないほどに遠いところに来てしまっ
たのか。
 それにしても、白い葱の官能、って、闇が深すぎる。。。