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3月

2010

『大人の休日』

 昨12月、高校時代からの友人の桂子と、『東京ディズニ
ーシー』に行った。桂子は、「物書きの友人をやっている
以上、書かれることは諦めている」という天晴れな女であ
る。(同様の志を持つ方がいれば、是非、メールにて、ご
一報を)

 東京ディズニーランドでは、『大人の水曜日』として、
45才以上の水曜日の入園は、入園料 700円オフをはじめ、
いくつかの特典がつく設定をしている。
 それを知ったとき、私は、「らっきぃ♪」と思うと共に、
「ふーん。45才からは、ディズニーランド公認の大人なん
だ」と、なんだか微妙だった。
 でも、やっぱり、はっきりくっきり大人なので、宿泊は
シェラトン、じゃらんネット会員限定格安プランにした。
 桂子は、アルパ奏者である。アルパというのは南米のハ
ープで、欧米のそれと違い持ち運びが容易であることが示
すように、比較的簡易な楽器だ。彼女はもともと、ピアノ
教師の母親を持ち、当たり前のように、ピアノとモダンバ
レエを習い、音大に学び、結婚をし、教職が天職であるか
のようなピアノ教師をしていたのだが。
 ある日、街角で、すっころんだ。アルパの音色に触れた
途端、「出会っちゃったの」という訳で、さっさと転向し
た。今では、「ほんっと、ラテン男って奴は」とぼやきな
がら、来日するラテン男のお世話に明け暮れている。『東
京ディズニーシー』なるものに行ったのも、出稼ぎ中のラ
テンバンドの演奏を聞くためだった。
 という訳で、「ディズニーシーって何があるの?」「ア
トラクションがあるらしい。ランドと違って、酒が飲める
らしい」と言いながらの、ディズニーデビューとなった。
 一日、楽しんだ。どう楽しんだかは、ミッキーのショー
を見終わったときの桂子の一言に集約されるだろう。「今
まで馬鹿にしていてごめんなさい。ミッキー」
 何しろ、『大人の休日』であるからして、夜は別行動。
桂子は、ラテン男たちと『さくら水産』へ。私は、知人と
新橋で待ち合わせて、焼きとり屋へ。
 そして、日付が変わる頃に部屋に戻り、持ち込みの酒を
飲みながらだらだらとおしゃべり。目覚めた朝は、『ホテ
ル探検』。なにしろ、豪華リゾートホテルである。ロビー
フロアに並んでいる多種多様なソファの座り心地をいちい
ち試し、結婚式場まで見学に行き、チャペルの中をはじめ、
のぞけるところはすべてのぞいた。そして、さくっと朝食
を食べ、「じゃ、またね」と帰途につく。桂子は横浜へ、
私は名古屋へ。
 おっとなー!
 な、私たちであるが、出会ったのは15の春の高校廊下。
桂子は、膝下5センチのスカートにゆるパーマの髪、私は
床上15センチのスカートにショートカット。お互いに、 
「なんだ、この変な格好をした女は」と思った。
 本当に仲良くなったのは、高校3年になってから。桂子
は音大受験に備えて、東京でレッスンを受けていたため、
欠席が多かった。あれは夏休み前のことだった。桂子が血
相を変えて、隣のクラスから走ってきた。
「大変大変! あたし、自分の体育の欠席チェックするつ
いでに、弥生ちゃんの分もしたら…、既に足りないよ、あ
んた、落第」
「え? なんで?」
 なんで、もないものである。朝、一応は家を出るが、気
が進まなければ、途中で寄り道、どうせ端から遅刻なので
ある。体育のある日は特に気が乗らないし、学校に行って
も、体育の前に早退することは多々あった。
 先生方の温情で、私は受験終了後、毎日、学校に体育の
授業、具体的には卓球をしに行って、無事、卒業させても
らった。一人でやってました。しかも、卓球。
 話が長くなったので、いずれまた。しかし、昔話に興が
乗るとは、私もほんとに大人になったものだ。