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4月

2010

『むずかしい本を読むコツ』

 第一に、興味を持っている事柄についての本であること。
 第二に、やさしい、読み易い本から入ること。これは、
名詞に慣れるためである。歴史の分野になると、知らない
名前がたくさん出てくる。誰がどれだかわからない。名詞
に慣れていると、「あ、この人、知ってる」と親近感も沸
くというものである。

ということで、マイテーマが『宗教』であるところの私
は、五木寛之の『親鸞』を読んだ。最初に出てきた知って
いる人は後白河法皇。「あ、親鸞って江戸じゃなくて、平
安の人なんだ」という情けないレベルにはちょうどいい。
 かなり面白かった。五木寛之さんは『文学おたく』にと
っては、じじばばのアイドルに思え、敬遠する気持ちもあ
ったのだが、手練である。奥付の略歴を見れば、休筆して
龍谷大学に通ったとある。おそらく、深く学んだことを、
エンタテイメントに仕上げている。随所に、仏教に関する
ミニ知識が覚えやすくちりばめられているのも凄い。小説
だからフィクションもあるだろう。専門家から見れば違う
のかもしれない、でも、そんなことたいした問題ではない。
 仏教に興味を持ったのは、高村薫さんがきっかけだ。 
『マークスの山』にはじまり、『レディ・ジョーカー』ま
では追いかけるように読んだ。『晴子情歌』でつまづいた。
『リア王』でもつまづいた。
 ここで登場してくるのが『文学おたく』のT氏である。
「リア王、面白いのに」
「だって、途中から、埴谷雄高になってるんですもの」
「ははは。でもね、高村さんは凄いよ。本当の識者だと思
う。この間まで連載してたのは合田刑事も出てくるから」
「えっ! いつですか? いつ出るんですか」
「そろそろじゃないかなあ」
 一年、お待ちしました、『太陽を曳く馬』。合田刑事、
ちょこっとしか出てきませんでしたが、仏教者である父と
現代美術者である息子の話に次第に引き込まれ、読み終え
たあと、前2作も読み返しました。3作(しかも上下だか
ら計6冊)で、日本版『百年の孤独』です。2回読んだけ
ど、まだわかりません。もっとわかりたい、それが宗教に
興味を持った本当のきっかけ。
 入口はどこからでもいいのだと思います。何かを始める
のに遅すぎるということはない、とはよく言われること。
 おまけ。先日のT氏との会話より。
「最近、弥生ちゃん、何、読んだ?」
「うーん。よかったのは、桐野夏生さんの『IN』かな」
「高村さんも凄いけど、桐野さんも別の意味で凄いよね。
2冊くらい読んだかな。剥き出しというか…」
「男の人にはきついかもしれませんねー。でも、『IN』
はあーでこーでこうであーだから、大丈夫! お年寄りに
も読めます!」
「わかった。読む」
 Tさん。長生きしてください。私のために。