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5月

2010

『比叡山』

 新緑の週末、夫と古刹巡りに出かけた。宿泊は大津で、
一日めは京都、二日めは比叡山。
 私と夫とは、付き合いが三十年近く。物欲はないが知識
欲があり、グルメではないが酒の値段にはうるさいという
共通点がある。なので、万人の参考にならないとは思うが、
こんな旅もあるという一例として。

 朝早く出て、10時過ぎに大津着。JRの大津駅から京都
駅までは、9分。おそろしく近い、安い、本数多い。京都
で学生時代を送ったH氏にも目のつけどころを褒められま
した。(ちなみに、ホテルはシャトルバスが運行するよう
な場所でしたが、駐車場はチェックイン前の時間も、チェ
ックアウト後の時間も「お使いください」という太っ腹)
 そして無事、京都駅着。いや、京都駅って、東京駅並の
ハイテンションで驚きました。広大な駅構内を右往左往し
つつ、必要な地図類を手に入れて、まずは三十三間堂へ。
 見学の前に一服と、喫煙場所に向かう途中、添乗員に文
句を言っているアメリカ人夫婦を発見。「私は腹が減って
怒っているんだ」と夫が怒っている。「お前も腹が減って
いるだろう」と妻に言うが、「私は別に」と妻は言う。私
たちは喫煙所で、しばし、その様子を観察。
「駐車場の真ん中で怒らなくてもいいのになあ」「あそこ、
暑そうなのにねえ」「あ、奥さんの方、煙草吸い出した。
警備員、見てみぬふりだ」「そりゃ関わり合いになりたく
ないでしょうよ」と、言いながら、手を振り回して怒って
いる夫に対して、妻も添乗員も揃って腕組みをしてうなず
いているだけなのに、文化的あるいは男女の越えられぬ河
的差異を見いだす。
 閑話休題。三十三間堂、よかったです、修学旅行生には
もったいない。ヨーロッパで教会の中に入ったときの感動
を思い起こしました。歴史の重み、としか言いようがない
何か、本物。堂内だけでなく、周囲も巡ります。夫はお約
束の写メとります。「あれ? 待受画面にしないの?」 
「この大きさは、写真に入りきれるものではない」と重々
しく言った夫、「もう一回、見てきていい?」と、堂内を
もう一巡りしてくる。
 三十三間堂の前の博物館は残念ながら休館中。ミュージ
アムショップだけのぞいて、西本願寺をちら見してから、
二条城へ。チケットを買おうとしたとき、「なんで、チケ
ットが出ないんだ」「私にわかるはずないでしょ」という
険悪な会話が聞こえて、横を見れば、先のアメリカ人夫婦。
相変わらず、夫だけ怒っている。添乗員の姿は見えない。
お払い箱になったのだろうか、折角の旅行なのに、と他人
事ながら気の毒になる。人間、無闇に怒るのは、損です。
 閑話休題、再び。二条城、よかったです。400年以上
も前に建築された建物の中を普通に歩いていいのか? 鶯
貼りの廊下、鳴きっぱなし。天井が高いのはなぜだ、と夫
とあれこれ推測を立てつつ、庭園に降りてみれば、見事に
刈り込まれた松の数々。あぁ、松って、こういう形だった
んだ、あれが松ぼっくりになるんだと素朴な感慨を抱く。
 そして、二条城を出てから、仕事絡みのリサーチをかね
て、とある小店舗へ。経緯は省くが、発見を一つ、ご報告。
「歴女って、腐女子の一形態なの?!」
 本格歴女の方、ごめんなさい。両方の単語がわからない
方、あるいは、ご住職、ごめんなさい。比叡山の感想は次
回にて。