水
26
5月
2010
『読書ノススメ』
読書は、私にとって、たまさか逃避である。日がな一日、
ベッドに横たわり読んでいる。
今回は、うっかり、『二つの祖国』『大地の子』などを
手にしてしまったので、気持ちは重くなるばかり。でも、
これで、山崎豊子の関西物以外は制覇したことになるので
いっか、と自分を慰める。
山崎豊子は、私はエッセイの方が好きだ。呆れるくらい
取材して、ご自分でも『独房』と名付ける状態で書く。せ
っかくなので、あまり知られていない彼女の経歴をダイジ
ェストで。
大学2年で開戦を迎え、軍需工場で働くのが辛くて、つ
てをたどって大阪毎日新聞本社へ。ここで、文芸部副部長
であった井上靖氏に取材の才を見いだされる。井上氏は新
聞社という激務の中、朝5時起きで原稿に取り組んでいた。
やがて、井上氏が作家デビュー。山崎氏も、やや遅れて、
作家になる。最初は、大阪の商家を舞台にした作品だった。
初期の社会派ものの『白い巨塔』『華麗なる一族』も関西
が舞台である。
『華麗なる一族』で、経済一辺倒の社会に疑問を持った
氏は、『不毛地帯』(先年、テレビドラマ化)へと進み、
関西ばかりか、日本を飛び出す。『二つの祖国』(大河ド
ラマ『山河燃ゆ』)は、戦時下の日系2世の物語。ハワイ
に一年間行ったのを機会に、構想を得たという。お次は、
『大地の子』(先年、テレビドラマ化)。これは中国に行
って、「宋三姉妹の話を書いてください」と言われ、「私
には中国人は書けない」と答え、「あっ、日系アメリカ人
のように、中国にも日本人がいる」と思ったのが発端、残
留孤児の話となった。『沈まぬ太陽』(先年、映画化)は、
アフリカでモデルとなる人物と巡り合ったのがきっかけだ
とか。そして(おそらく)最後が、『運命の人』、主人公
は新聞記者。
有吉佐和子は、一歩先を行くテーマ選びの人であったが、
山崎氏は戦中派ならではのこだわりで、振り返ってテーマ
を選び、丹念な取材で掘り起こしてきた人と言えよう。ど
れも読みごたえのある話であるが、私は中でも重い2冊を
続けて読んでしまった。『二つの祖国』『大地の子』、と
もに太平洋戦争の時代の話である。
私は、『戦争を知らない子どもたち』という歌を歌うこ
とができる。今、一人で歌ってみたのだが、「なにが、平
和の歌を口ずさみながら、だよ」とか、思った。
戦争のことを知らなければならないと思う。それは、戦
争がどんなに非人道的か、だけではない。戦争によって、
日本は変わった。変わらざるを得なかった。戦後、教科書
が墨塗りされたのは有名な話である。私たちは、敗戦と戦
後の復興によって、何を得て、何を失ったのか。学校では、
多分、この先もずっと教えてくれないだろう。せめて、お
話を通してでも、概略を知っていた方がよいと思う。
ところで、どうでもいいことなのだが。。。
『二つの祖国』を本屋で買い求めたときに、文庫の本の
帯に、「活字が大きくなって読みやすくなりました」とあ
った。4分冊だった。活字が元のままだったら、3分冊だ
ったのではないか。1冊分、私が余計に払わなければなら
なかったのは、活字離れのせいだろうか。年寄りしか、も
う本を読まないのだろうか。なんだか釈然としない。
結論。みなさん、本を読みましょう。
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